今季限りでDeNAを退団した多村仁志外野手が他球団での現役続行を目指し
戦力外通告を受けた翌日から週5日のトレーニングジムで体をいじめ抜いているそうだ。
「先が見えない状況で不安がないと言えばうそになる。
でも支えてくれる家族、ファンのためにもまだ辞められない」。
今年は数多くの名選手が現役引退を決断しました。
山本昌、斎藤隆、谷繁、西口、谷、和田、小笠原、高橋尚、井端、高橋由…。
同世代の金城も現役生活に別れを告げた。
「金ちゃん(金城)はずっと一緒にやってたからね…。
なんでこんなにたくさん辞めるんだろう、
まだみんなできるだろうと思ったから驚いた」
と複雑な表情を浮かべる。
プロ21年目の今季は4試合出場のみで打率・143、0本塁打。
5月3日に登録抹消後は、1軍で出場機会がなかった。
イースタンでは若手育成のチーム事情で毎試合2打席限定だったが、
打率・319、7本塁打。動体視力の衰えは感じず故障もない。
それでも4カ月以上の2軍暮らしは、気持ちがいつ切れてもおかしくない状況だった。
「この球団を離れる理由はない。
ファンも熱いし、地元の横浜で現役生活を終えるつもりだった」
と心の葛藤を吐露する。
それが、他球団での現役続行。
決断を後押ししたのは尊敬する先輩、恩師の言葉だった。
9月下旬。テレビをつけると、
06年の第1回WBCで共にプレーしたイチローの特集に目がくぎ付け。
野球評論家の佐野慈紀氏が
「もう少し(現役を)やりたかったなあ」とつぶやくと、
イチローが「じゃあ、やればいいじゃないですか。何で自分で限界をつくるんですか」
と聞き返した。
その言葉が強烈に心に残り、自分の気持ちに正直になれた。
「そうか、やれると思うんだったらやってもいいんだ」。
イチローだけではない。DeNAの退団が決まりソフトバンク、
侍ジャパンで指導を受けた王貞治ソフトバンク球団会長に電話。
「悔いの残らないように頑張れよ」と励まされ、
「今までたくさんの金言を頂いた。力がみなぎるよ」と決意が固まった。
04年に日本人球団初の40本塁打を放つなど
通算打率・281、195本塁打。
「打席での威圧感が違う。敵になりたくない」
とDeNAナインは口をそろえる。
昨年まで同僚だった中村紀洋も
「いろんな選手を見てきたけど、多村は天才。あの打撃技術は凄い」
と一目置くほどだった。
引き際が近いことは自覚している。でも今ではない。
「次の球団が最後になると思う。チャンスがあればどこへでも行く覚悟です」。
天才多村が、まだ、できる。
と言っていますからね、まだまだやれます。。。